恋ってもっと、かわいくて幸せなものでしょう?
「どうゆうこと?」
「留学って・・・どうゆうこと」
自分だけ知らされていなかたみたいで、不安になる荒野、
悠也は再婚すると決まった時、
すでに留学の事を頼んでいた。
何も知らなかった荒野はちょっぴり立腹する。
「遠くにいきたいっていってただろう」
再婚の際、悠也は別棟に隔離されてしまい、
その事が原因かなと思う荒野・・・・・
しかし、悠也はそうではないという、
「ほら、遠くって言葉、具体的になっただろう」
そう、かつて悠也が荒野に言った言葉・・・・・
悠也:「荒野にいきたいんだ」
荒野:「それって具体的にどこなの?」(←悠也に女みたいなことと言われた台詞)
「あ・・・に・・・二年たったら帰ってくるの?」
「さあ、でも、おそらくここには、もう、もどらないと思う」
言い放つ悠也の背中を見て、荒野は、ずっと悠也の背中ばかり見ていたんだと気づく
「恋って つまりは 所有欲だと思う」悠也のフラッシュバックが蘇る
そして荒野はまた胸が苦しくなり、よくわからなくなってしまう。
「どうして こんなに 泣きたいんだろう」
その理由のわかる誰か・・・大人の女性に聞きたいと思う荒野、
大人の女性・・・・・
荒野はその夜、以前、荒野の家の家政婦をしていた奈々子の携帯に電話をかける。
番号が変わっていない事を祈る荒野、
そして懐かしい声が携帯越しに聞こえる(涙ぐむ荒野)
「奈々子さん、いま、どこ」
「東京」
「・・・え?」
「場所をかえようと思って、でも、まあ、やっている仕事は同じさ」
「・・・奈々子さんも場所を、かえようとする人だったんだ(はー)」
「えっ?なに?」
荒野は、奈々子に電車で出会った男の子(悠也)の事を話していた(吊り橋効果の事)、
「奈々子さん、これは、なに?」
「なにって、おまえ、恋だろ」
「・・・奈々子さん、ちがう気がします」
「なんだよ、敬語で、なんでちがうんだよ、いってみ」
「だって、いまの気持ちはなんだか不安で、すごくおこっているときに似ていて、へんなの」
「恋って、もっと、かわいくて幸せなものでしょう?」
「これが恋?ちがうよね」
荒野の問いかけに応える奈々子だが、そんな奈々子も、
場所を変え、二度と父や、自分に会うことはないのだと知る。
この家から失われていく何かを感じる荒野
電話が終わってしまいしゃがみこんでいると、奥の部屋の方から、何か声が聞こえてくる。
行ってはいけないと思う(感覚的に)のだが、そっと、声のする方に向かう
声は、父の部屋からだった。
少し開いた障子の隙間から、女性の手が見える。
その手をさらにもうひとつ男性の手が覆う、
荒野はドキッとする。
あまりにもびっくりしてしまい、
裸足のまま走って悠也のいる別棟へ行く荒野
「・・・どうしたの」
「見ちゃった」
「なにを」
「パパと蓉子さんの」
「・・・・・・、おまえ、なあ・・・」
押し黙る二人
「・・・どうしたら、いいのかな」(悠也)
「えっ」
「あの日、あの朝、ほら、入学式の・・・」
「ああ、うん」
押し黙る二人
「あのね、吊り橋効果なんだって」
荒野は、奈々子に言われた吊り橋効果の話を悠也にする。
「・・・なんだか、それ、ばかっぽいよな」
悠也は荒野ににじり寄る(ここの感じが如何にも男子で衝動を感じます)
「わたしもそういったの、荒野はばかじゃないよって」
「だけど、ねえ悠也・・・」
「このうち全体が、ずっと、吊り橋みたいにゆれているよ」
そう荒野が言った瞬間、荒野を押し倒す悠也(キャー、赤面)
「悠・・・っ、キャッ」
「こんなことを」
「こんなことをするだろうって、隔離されたんだ・・・!」
「すごく、わるいことなんだ・・・!」
躊躇した悠也を退け、外に飛び出し、母屋に戻る荒野
少しして悠也がやってくる
「ごめん・・・」
「荒野・・・」
「なに」
「さいしょに電車の中で見たとき、おまえのこと好きになった」
「・・・、吊り橋効果だね」
「それをいうな」
「どうして」
「だってやっぱり、それは、なんだかばかみたいだろう」
「うん・・・」
「でていってごめん」
待っていてくれたら戻ってくるという悠也、
荒野には信じられない。
「・・・うそだ」
「うそじゃないよ」
「ほんとうにもどってくる」
ガラス越しに見つめあい、手と手を重ね合わす二人、
ガラス戸を開け、二人は唇をそっと重ねる。
走り去る悠也、荒野の手元には一冊の本が、
その本には栞が挟んであり、その場所を開くと・・・・・
男たちは 常に 終わりなき出発を夢見る
安全な 暖かい家庭 バラの匂う美しい庭
友情や
愛や
優しい夢や
そんなものの一切に
或る日 突然
背を向けて
荒野をめざす
だから
彼らは 青年なのだ
それが 青年の特権なんだ
『青年は荒野をめざす』五木寛之(文春文庫刊)より
読み終わった荒野には何だかよくわからなかった、
なぜなら・・・・・
「だって、女だもん」
山野内荒野
12歳
おとな、以前。
今回、田中江里華ちゃんは登場していません。
ので次回は3巻で江里華ちゃんが登場した箇所を中心にレビューしようかと思います。
ではまたね。
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