このふろくは6人の作家さんがそれぞれ「花」をテーマに書き上げたようで、
以下のような構成になっています。
- 『明け方、露が光っている 』 谷川史子 露草:なつかしい関係
- 『 菫子 』 岩館真里子 三色すみれ:わたしを想って下さい
- 『 花無垢 』 紺野キタ 夏椿:愛らしさ、はかなさ
- 『 ハイビスカスの庭』 かねもりあやみ ハイビスカス:上品な美しさ
- 『 まるで薔薇のようなアタシ』 松苗あけみ 薔薇:愛情、情熱
- 『Daydreaming』 くらもちふさこ 蓮:やさしさ
結婚する事が決まり、夫となるクニヒコと実家に帰ってきた。
そこには年の離れた妹のひかるがいた。
ひかるは中学生で、クニヒコには初めて会う。
そんなひかるが足を水で流している。
聞けば、新しい靴で靴擦れをしたため、冷やしているという。
靴は庭に放り投げたようで、
姉は、今夜雨が降るから、取ってきておきなさいと、ひかるを諭す。
ひかるは靴を投げた方向に探しにいく、行った先には、散りくる白い夏椿、
その枝ぶりの中に身を置き、こちらを振り返るひかる。
姉はそこに得体のしれない生き物を見る。
「この生きものは何だろう?」
「今、目の前にいる、これは何ものだ?」
しばらくして、ひかるは友達とディズニーランドに行くことになり、
帰りに姉夫婦の家に遊びにいく、
ひかるに会うのは結婚式以来だ、
久しぶりに会った妹は、魔法がとけてしまったように、
普通の女性になっていた。
ベトナムとフランス合作の映画に「青いパパイヤの香り」という作品があります。
この映画の前半、ムイという役で、10歳の女の子が登場するのですが、
花無垢を読むとなんとなくこの子を思い出します。
きっとどんな女の子にもある”少女”という愛らしくはかない時間・・・・・
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