2012年6月1日金曜日

「忘れられない」谷川史子(その3)

(4)エンドレスマーチ
飛び込んでみてごらん、素晴らしい日々が、待っているから・・・・・

杏(あんず)は、ある事をきっかけに、人と関わることが苦手になった。
そのきっかけを作った祖父が亡くなった。

祖父は生前遺言を残していて、
杏への遺言は、「おじいちゃんとの思い出のアレ」と、だけ書かれていた。
思い出のアレ....で思い出すのは、ブリキのお人形の事だか、
そのブリキのお人形は、なぜか、
家族も知らない、古澤十也(とうや)という人物へ渡してくれというものだった。










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そんな最中に、古澤十也本人がやって来る。

古澤はアンティーク雑貨のお店を開いていて、
ブリキのお人形は遺言により、古澤に引き取られていった。

ブリキのお人形は杏が小学生の頃、祖父がクリスマスプレゼントとして贈ったものだが、
杏はつい、かわいくないから、いらないと言ってしまう。
遠方から来たであろう、祖父の帽子やコートには雪が積もっていた。

ブリキのお人形が気になる杏は、アンティーク雑貨店まで足を運び、
古澤にブリキのお人形を売ってくれないか?と懇願する。

生前祖父は、古澤に、ブリキのお人形を売り物としてではなく、
古澤自身が持っていて欲しい、とお願いをする。
古澤はその約束を杏に告げ、絶対に売り物することはしないと約束する。

杏はあのクリスマス以来、何となく祖父の家に行こうとはしなかった、
そんな祖父が懇意にしていた古澤、杏は生前の祖父の話を聞きたくて、
アンティーク雑貨店に足を運ぶようになる。
そこには、杏の心に今もある、ある気持ちが、杏をそうさせていた。

古澤はそんな杏の心をずばりと当ててしまう。
そして、杏は、古澤に自分の心の内を話し始める。









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人と関わることが苦手な杏、その原因を作ったと思っている祖父
この二人はとてもよく似た 二 人で、お互いがお互いを気遣い、逆にギクシャクしてしまい、
その事で人と関わることが苦手になってしまった杏、
そんな杏の心を優しく解きほぐす古澤、
結末、ブリキのお人形の秘密が分かり、杏は祖父の思いを知る。
そして、なぜ祖父がブリキのお人形を古澤に託したのか、本当の意味を知る。

私も人と関わるのが苦手で、
どちらかといえば一人でいる方が多い人間ですが、
この作品を読んでいて、涙が出てきちゃったんです。

亡くなった家族の事をどこかで想っていたんですね、
長生きすると勝手に思っていたので、
どこかでそんな面影がかぶったのかもしれません。

そういえば、作中にヨハン・シュトラウス・Ⅰ世のラデツキー行進曲(マーチ)が出てきます。
↓こんな曲です(よかったらどうぞ)

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