2012年6月16日土曜日

「未完の恋」宮内由香

わたしが宮内由香せんせに出会ったのは、
2010年のつぼみvol.8、「夏の思い出」でした。
百合系の作品はそれなりに好きで、読んではいましたが、
何となくというような曖昧なもので、
つぼみもそういった流れで読むようになったのですが、
今から思えば、もっと前から読んでおけば良かったと後悔しています。
しかし、こうして、宮内由香せんせの作品が、
つぼみ収録+αという形で刊行されて本当にうれしいです。

さて、「夏の思い出」、
わたしはもう、1ぺージ目から引き込まれてしまいました。

「未完の恋」宮内由香 芳文社













結婚式会場で一人立つ綾乃、
彼女はこれから結婚式をあげる、従姉妹「しょうこ」との、
ある夏の日を思い出していた。

綾乃は内気な性格で、本を読んだりするのが大好きだけれど、
暑いし、うるさい親戚も苦手なため、夏休みが嫌いだった。
けれど、嫌いな夏も、従姉妹の「しょうこ」が来てくれれば、
もうそんなことは全然関係なかった。

畳のある部屋で、干された布団に寄りかかり、
苦手な親戚たちが綾乃を誘うが、一緒には行きたくはなかった。
シーツに包まり、やり過ごしていた綾乃のもとへ、
しょうこがやってきた。

大人たちはお墓参りに行ってきたようで、
しょうこも制服姿だったので、
綾乃は用事の済んだしょうこが帰ってしまうんじゃないかと心配だった。

しょうこは、そんな綾乃を思いやるが、自分は受験も控え、
日帰りである事を綾乃に伝える。

綾乃は受験が終われば、また来年も来るよね、
ずっとずっと来るよね、と、しょうこに問いかける。

そんな、綾乃にしょうこは......

今、目の前に、そんなしょうこが結婚式をあげている。
綾乃は、大切な人、しょうこの幸せをそっと祈る。


「未完の恋」宮内由香 芳文社


















この単行本は、百合作品だけではなく、
ファミリー向けの作品も加味されています。
宮内由香せんせいは、LO等にも掲載されていますので、
青の時代、恋愛賛歌など、
そういった要素が強い作品と思われている方は拍子抜けされるかもしれません。
けれど、内容は宮内由香そのものではないかとわたしは思っています。

描き下ろしではないもの
  • 「キャメル」つぼみvol.1(2007年発行の同人誌)
  • 「胸の炎」つぼみvol.2(2009年)
  • 「シュガー」つぼみvol.3(2009年)
  • 「鬼丸さんの恋」つぼみvol.5(2010年)
  • 「夏の思い出」つぼみvol.8(2010年)
  • 「泣き猫 月光を浴びる」同人誌(2011年)
  • 「3年前の・・・」東日本大震災チャリティ同人誌(2011年)
  • 「ファミリア・ファミリア」つぼみvol.17(2012年)
描き下ろし
  • 「未完の恋」
  • 「鬼丸さんの恋 その後」
  • 「ファミリア・ファミリア キヨコ結婚前」
  • 「ファミリア・ファミリア 5年後」
ファミリー向け
  • 「ここは帰りた荘1」
  • 「ここは帰りた荘2」
  • 「ここは帰りた荘3」
あとがき
  • ひとりごと
その他
  • 書店別特典

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