2012年11月24日土曜日

「恋する女の子はいつも」四元シマコ

←か、かわいいですw



















佐々木みな、17歳にして恋愛指南書読み込み歴6年。
実績と失敗を経て身に付いた傾向と対策・・・














付いたあだ名は「恋愛相談師」

そして今日もまた、ミナに相談が入ります。

その男子は多数の女子とお付き合いしているようで、
いろんな子を泣かせているという噂、
最初から選ばなきゃといいと、ミナの友達は言うけれど・・・
好きになってしまったり、思い通りにいかないと余計に追っかけてしまうもの、

恋する女の子はやっぱりかわいい!! だから、
そうゆう子をもてあそんでいる男なら許しがたいものがあるとミナは思うのです。

普段は相談を受けても、男子を見に行くという事はないのですが、
噂の男子「大藤君」、相談にくる女子が何人もいて、ミナは大藤君を見にいきます。

探りを入れていると、大藤君に気づかれます(ミナもまぁ有名なので)
お互い初めてまして同士なのですが、

「男ならみんな知ってるっしょー、かわいくて有名だもん!」

大藤君、一見チャラい感じの男の子です。(オリラジ藤森さん?)

探りを入れたはずの質問でもうまくかわされてしまいますが、
大藤君本人は、お付き合いしてる彼女は「いない」、「いつもいない」と言います。

・・・?!、いつもいないって・・・、

大藤君は彼女を作らないようにしていて、
女の子はかわいくて、笑ったり、喜んでいる姿を見るのが好きなんだとか、

本人いわく、

話しかけて、良いところを褒めたりすると
嬉しそうにしたり、照れてみたりしてくれる。
そうゆうのは誰かの彼氏になると反感を買うので、
遊んでくれる女子には「彼女は作らない」って伝えている。と・・・

結果、女子がヤキモキするんですけれど、
まぁ、大藤君なりに考えはある様子。

ミナも、女の子がかわいくってトコは理解できる。
そもそも、女の子が恋している姿がかわいいのだ。

「男の人って、女の子を喜ばせると嬉しいって気持ちが元々あるのよ」

この手の話をすると、すぐに悪い奴とか、タラシとか言われるので、
理解してくるミナに、

「なんか、すっげえ、うれしー」

と満面の笑みをかえす大藤君、







そんな大藤君にちょっと好意を持つミナちゃんであった。

その日から、大藤君となんとなく、顔をよくあわせるようになり、
時々、話したりするようになります(笑)









大藤君はミナちゃんが気になるのか、
彼氏がいなくても全然いいの?とか聞いたりします。

ミナちゃんの望む目標は、
私の事を誰よりも好きって言ってくれる人でもなく、
さみしいのを埋めるのでもなく、
条件のいい男の子と付き合うのでもなく、

「わたしがその人のこと心から好きになれる人に出会うことかなぁ」

その言葉に、大藤君、グッときたご様子

「・・・へぇ、いいね」

大藤君についての相談もあまり耳にしなくなり、
それと共に、時々聞くようになった、大藤君のうわさ話、

ミナは胸が痛くなる。
駆け寄って大きな声で、大藤君のいいところはね って話したくなるのも
わたしがお節介だからだけでは、とても片付けられない程、
とても、
言えない程
女の子はいつでも
素敵な恋いを求めている。











そして物語は次回に続くのですが、
ど、どうなるんでしょうか?
まぁ中二ではありませんから、察しはつきますよね(笑)、
そこはお決まりとしても、
楽しむというのが、ある意味ルールなので、
1月号を待ちたいと思います。

12月号のTWO、どの作品も素敵でしたが、
個人的には、
  • 湯木のじん先生 「茜君のココロ」
  • 綾瀬羽美先生 「ひだまりの海 前編」(後編がとっても楽しみ)
  • 紗織先生 「孤独なトナカイ」
  • 増田里穂先生 「25日のハグルマ」
などの作品が好きでしたね。

2012年10月25日木曜日

「荒野の恋3」タカハシマコ 原作:桜庭一樹

恋ってもっと、かわいくて幸せなものでしょう?

「どうゆうこと?」
「留学って・・・どうゆうこと」

自分だけ知らされていなかたみたいで、不安になる荒野、
悠也は再婚すると決まった時、
すでに留学の事を頼んでいた。
何も知らなかった荒野はちょっぴり立腹する。


「遠くにいきたいっていってただろう」

再婚の際、悠也は別棟に隔離されてしまい、
その事が原因かなと思う荒野・・・・・ 

しかし、悠也はそうではないという、

「ほら、遠くって言葉、具体的になっただろう」

そう、かつて悠也が荒野に言った言葉・・・・・

悠也:「荒野にいきたいんだ」
荒野:「それって具体的にどこなの?」(←悠也に女みたいなことと言われた台詞)

「あ・・・に・・・二年たったら帰ってくるの?」
「さあ、でも、おそらくここには、もう、もどらないと思う」

言い放つ悠也の背中を見て、荒野は、ずっと悠也の背中ばかり見ていたんだと気づく
「恋って つまりは 所有欲だと思う」悠也のフラッシュバックが蘇る
そして荒野はまた胸が苦しくなり、よくわからなくなってしまう。

「どうして こんなに 泣きたいんだろう」

その理由のわかる誰か・・・大人の女性に聞きたいと思う荒野、

大人の女性・・・・・

荒野はその夜、以前、荒野の家の家政婦をしていた奈々子の携帯に電話をかける。
番号が変わっていない事を祈る荒野、
そして懐かしい声が携帯越しに聞こえる(涙ぐむ荒野)

「奈々子さん、いま、どこ」
「東京」
「・・・え?」
「場所をかえようと思って、でも、まあ、やっている仕事は同じさ」
「・・・奈々子さんも場所を、かえようとする人だったんだ(はー)」
「えっ?なに?」

荒野は、奈々子に電車で出会った男の子(悠也)の事を話していた(吊り橋効果の事)、

「奈々子さん、これは、なに?」
「なにって、おまえ、恋だろ」
「・・・奈々子さん、ちがう気がします」
「なんだよ、敬語で、なんでちがうんだよ、いってみ」
「だって、いまの気持ちはなんだか不安で、すごくおこっているときに似ていて、へんなの」
「恋って、もっと、かわいくて幸せなものでしょう?」
「これが恋?ちがうよね」

荒野の問いかけに応える奈々子だが、そんな奈々子も、
場所を変え、二度と父や、自分に会うことはないのだと知る。


この家から失われていく何かを感じる荒野

電話が終わってしまいしゃがみこんでいると、奥の部屋の方から、何か声が聞こえてくる。
行ってはいけないと思う(感覚的に)のだが、そっと、声のする方に向かう
声は、父の部屋からだった。

少し開いた障子の隙間から、女性の手が見える。
その手をさらにもうひとつ男性の手が覆う、

荒野はドキッとする。

あまりにもびっくりしてしまい、
裸足のまま走って悠也のいる別棟へ行く荒野

「・・・どうしたの」
「見ちゃった」
「なにを」
「パパと蓉子さんの」
「・・・・・・、おまえ、なあ・・・」
押し黙る二人
「・・・どうしたら、いいのかな」(悠也)
「えっ」
「あの日、あの朝、ほら、入学式の・・・」
「ああ、うん」

押し黙る二人
「あのね、吊り橋効果なんだって」

荒野は、奈々子に言われた吊り橋効果の話を悠也にする。

「・・・なんだか、それ、ばかっぽいよな」

悠也は荒野ににじり寄る(ここの感じが如何にも男子で衝動を感じます)

「わたしもそういったの、荒野はばかじゃないよって」
「だけど、ねえ悠也・・・」
「このうち全体が、ずっと、吊り橋みたいにゆれているよ」

そう荒野が言った瞬間、荒野を押し倒す悠也(キャー、赤面)
「悠・・・っ、キャッ」
「こんなことを」
「こんなことをするだろうって、隔離されたんだ・・・!」
「すごく、わるいことなんだ・・・!」

躊躇した悠也を退け、外に飛び出し、母屋に戻る荒野
少しして悠也がやってくる

「ごめん・・・」
「荒野・・・」
「なに」
「さいしょに電車の中で見たとき、おまえのこと好きになった」
「・・・、吊り橋効果だね」
「それをいうな」
「どうして」
「だってやっぱり、それは、なんだかばかみたいだろう」
「うん・・・」
「でていってごめん」

待っていてくれたら戻ってくるという悠也、
荒野には信じられない。

「・・・うそだ」
「うそじゃないよ」
「ほんとうにもどってくる」

ガラス越しに見つめあい、手と手を重ね合わす二人、

ガラス戸を開け、二人は唇をそっと重ねる。

走り去る悠也、荒野の手元には一冊の本が、
その本には栞が挟んであり、その場所を開くと・・・・・

男たちは 常に 終わりなき出発を夢見る
安全な 暖かい家庭 バラの匂う美しい庭
友情や
愛や
優しい夢や
そんなものの一切に
或る日 突然
背を向けて
荒野をめざす
だから
彼らは 青年なのだ
それが 青年の特権なんだ
『青年は荒野をめざす』五木寛之(文春文庫刊)より

読み終わった荒野には何だかよくわからなかった、
なぜなら・・・・・

「だって、女だもん」

山野内荒野
12歳
おとな、以前。












今回、田中江里華ちゃんは登場していません。
ので次回は3巻で江里華ちゃんが登場した箇所を中心にレビューしようかと思います。
ではまたね。

2012年10月7日日曜日

「藤代さん系。」湯木のじん

別マ期待のルーキー!!

こんにちは、ハハ、ごぶさたしております。結構更新が怠りましたね(汗)

さて、湯木のじんセンセの「藤代さん系。」は、4つ(うち表題の藤代さん系。は3話構成)のストーリー
で構成されています。

藤代さん系。
  • 第1話、平成23年12月増刊号 別冊マーガレットsister
  • 第2話、平成24年3月増刊号 別冊マーガレットsister
  • 第3話(最終話)が、平成24年6月別冊ふろく
その他に、
  • 「かわいいのなんか知ってますけど何か?」別冊マーガレット平成22年12月増刊号と別冊マーガレットsister
  • 「3いこーる1たす2」デラックスマーガレット平成22年1月号
  • 「ちょいっとな」別冊マーガレット平成21年8月号

で、藤代さん系第1話です。




















登場人物はもちろん藤代さん、名前は「藤代かよ」ちゃん
両親は公務員(お母様は元公務員)、お見合い(晩婚)
藤代さんの好きな言葉、「勤勉」「謙虚」「誠実」「無遅刻・無欠席」
そんな藤代さんは真面目なのですが、要領が悪いのか成績は中の下
返却された答案用紙の得点(平均点以下)を見ながら自分を納得させているところに
久世君(←むっつりS系イケメン)が通りかかり、
藤代さんの答案用紙を見てぽつりとつぶやきます。

「いつも真面目なのに何で?」

















自分でも何でだろう??と思うのですが・・・
久世君は1・2年と同じクラスで、この間の席替えで初めて隣になったらしい、
藤代さんとは性格がまったく反対?で、遅刻、さぼりの常習犯
けれど、いますよねー(マンガの世界では)学年トップの成績
でも、藤代さんはいたってマイペース、人は人、自分は自分
そんなマイペースな日々を送っている藤代さんに
ある日、久世君が、藤代さんをじーっと見つめてつぶやきます

「・・・いや、気になるだよね、藤代さん系って」

えっ、何?、久世君、好きな人はいじめちゃう系?
などと混乱していると、久世君が

「真面目で報われない系?」

いやー、久世君とっても藤代さんをよく見ていらっしゃるんですね、
男子にもいろんなタイプがあるのでしょうけれど、
藤代さんはどちらかといえば、男子が守ってあげたいタイプ?なんでしょうね。 
藤代さんも何となく久世君が気になっているんですが、
久世君のむっつりな態度に最初は爆発して、言いたいこと言ってしまうんですが、
久世君はそんな事はあまり気にしていないようで、
逆に、いい人すぎる藤代さんを心配していて、藤代さんにそのことを話します。
藤代さんも家族のこととか久世君に話したりして、
なんとなく二人の関係が近づいていきます。

ある日、女子が久世君の話をしていて、何だろう?と思っていると、
体育祭の衣装のアイデアの発表と、そのアイデアに対する投票があるようです。

近く体育祭があり、衣装についてのアイデアをクラス内で募っていました。
藤代さんもその募集に参加しようと、時間をかけていろいろ考え応募します。
久世君も参加しようかな?なんて言ったりしてて・・・・・

投票の結果、選ばれたのは久世君アイデアでした。
久世君は10分ぐらいで構想を練り、応募したようで、
藤代さんはそんな結果に何だか悲しくなります。

残った教室でひとり涙する藤代さん、
そんな教室に久世君がやってきます。
泣き顔を久世君に見られ、

「ご、ごめん ごめん なんでもないの アハハ」

でも藤代さんはよくわからなくって更に泣いてしまいます。




















そんなしゃがんで泣いている藤代さんの腕を、久世君は掴み、
「グッ」っと胸元に引き寄せます(わざとではない感じがイイ)
引き寄せられた藤代さんは、え!?って感じになり、ちょっと動揺するんですが、
久世君「次 移動教室だよ」(冷静)
泣き顔で教室になんか行けないと、嫌嫌していると、
久世君「さぼる?」「藤代さんもさぼるとかつまんないこと言うの?」
我に返る藤代さん
久世君「言わないでしょ?藤代さん系って もっと面白いじゃん」
走り出す藤代さん。
置いてけをくらった久世君ですが、何だかうれしそうです。

真面目で報われない系・・・・・
でもひたすら頑張る系
何それ 最高でしょ?

置いて行かれた久世君




















まんざらでもない藤代さん




















そして、久世君の・・・・・・

















おあとがよろしいようで・・・・・ご馳走様でございます。
1話はこれでおしまいですが、2話、3話と、とってもおもしろいですよ。是非是非

追記:
個人的には、「かわいいのなんか知ってますけど何か?」も好きです。
ほんと湯木のじんセンセ期待してますんw

追記2:
試し読みに1話丸ごとあって、もしかしてこのブログ意味ないって気づきました(泣)
見てくれた方に感謝ですw ↓はそのお試しです。

http://betsuma.shueisha.co.jp/book/pc/fujishiro.html

2012年9月11日火曜日

「かくかくしかじか1巻」東村アキコ


















集英社 「かくかくしかじか1巻」東村アキコ


何も考えていない くるくるパーの顔した 私

私自身も高校生の頃は身を入れず勉強?って感じでした。ただ理系教科に関しては、なぜかあまり勉強しなくても、高得点が取れる才能があり、勉強?っていう感じになってしまったのですが、こういったうぬぼれや、高慢な態度は、人生を重ねる上ではやはりマイナスなんじゃないかと、最近思う訳です。

あの頃(高校、大学と)もっと勉強しておけば良かったと、親や先生の言葉が今頃身に沁みるんですよぉ(マジ)。

この作品を読むと、東村せんせも同じような体験をされてます。
ただ私と違うのは、ここぞ、というところで恩師の日高先生に出会い、有無もいわされない状態でがむしゃらにやったという事ではないでしょうか?
学校の教育と違い、お習い事は、師弟の関係みたいなものがあり、師の言葉は正に、『ここでは この人(先生)が法律だった』というように、I'm the Lowな訳で、反抗できない状況です。
これでいいのか?これがいいのか?と自問自答し、東村せんせも、辞めよう!と思いますが、日高先生は嘘をついた東村せんせをおんぶして、バスが来るまで待っていてくれたり、本当はとっても優しい人なんだと、結局、「怒られる」意味を何となく知るんですよね、

こういう体験は、例えば、アルバイトを始めたばかりの時、先輩や社員さんに怒られるみたいな感じと似ていると思います。最近では、教師や親までが怒らなくなってきて、こんな風に怒ってくれる方は少なくなってきているのかもしれません。

先生の優しさという点では、東村せんせが完璧だと思えた推薦入学に失敗した時ではないでしょうか?
ここでも明子の超うぬぼれ感がいなめません(東村せんせすみません)
こういう高慢な態度ではやはり落ちるんですよね、うん、推薦なのに・・・・・

日高先生は落ちた明子を飲みに誘います。

『おう 落ちたか すぐ出て来い 飲み行くぞ』

すごいのは、やはり落ち込む隙を与えないって事です。
悩んでいても不合格は不合格、合格ではないし、何も解決はしません、

『林 飲め 今日だけ飲んで 明日から また描くぞ』

まぁ、東村せんせは描きたくないとゴネますけれど(笑)

大学受験は確かに地方巡業のような事がありますよね、私自身も関西方面に巡業した経験があります。見ず知らずの土地のビジネスホテルに泊まって、次の日の受験に備え、下見に行ったり、隣の部屋のカツプルがうるさかったりしてゲッソリしたり、そうした特殊な状況ですから、宮崎出身の明子には、雪は印象に残ると思います。国境の長いトンネルを抜けると雪国であったという、川端康成ばりな・・・・・

金沢でいろいろあった1次試験に合格した明子に、日高先生は、第一志望の不合格を連絡してきます。(マジですかね、東村せんせは日高先生をド直球と評してます)

1巻の巻末は以下のような台詞で締めくくられます。

私達は 毎日 小さな嘘をつきながら いつの間にか大人になって
大人になったら その嘘の量は 2倍にも3倍に増えて
毎日毎日 色んな人に 気を遣い 色んな人に 気を遣わせ
もう何が本当で 何が嘘なのか 分からない世界を 生きていて
なんだか毎日 悲しいやら 情けないやらで
そんな時はいつも 先生のことを 思い出します。
ねえ 先生
先生
私の先生

2012年8月19日日曜日

「星になる日」鈴木ジュリエッタ

アニメ、神様はじめましたに寄せて、

星になる日には以下の6つの読みきり作品が収録されています。
・  朝がくる: 平成16年 花とゆめ 16号
・  星になる日: 平成16年 花とゆめプラス 9/15号
・  マイブラッディライフ: 平成17年 別冊花とゆめ 1月号
・  サクラチル: 平成17年 ザ花とゆめ 4/1号
・  拝み屋裏台帳: 平成16年 花とゆめ 24号
・  椿檻 平成17年: ザ花とゆめ 2/1号

どれもとても素晴らしく、鈴木ジュリエッタせんせを知りたいと思われる方は是非読んでほしいと思います。
神様は、妖かし系のラブコメですが、ジュリエッタせんせの作品の中には、神様に至るまでに、随所にそれらしい作品があり、「悪魔とドルチェ」や「カラクリオデット」もその伏線的な要素がありますし、星になる日に掲載された、「椿檻」は神様的な作品です。
今回はタイトルである、星になる日をネタバレ承知でレビューします。


『星になる日』はデビュー作ですが、先生曰く「朝がくる」より前に描いたものらしく、
絵を入れなおしてデビュー作になったようです。

暇をもてあますイケメン吸血鬼ドラクロワ、
森に夜の散歩に出かけると、一人の少女、
血を吸おうかと襲いかかると、少女は盲目、しかも天然、
すっかり血を吸う意欲をなくすドラクロワ、少女の名はミナ。

ミナに森にいた理由を聞くと、村が飢饉で食料がなく、
ミナは残る家族のため森に捨てられたらしい(楢山節考みたい)。
そんなミナに凄んではみたが、ミナはすでに天国に行けるものと思い込んでいて、
何か調子を狂わされるドラクロワ。
死にたがっている人間を殺すより、「生きたい」って思わせてやりたいとあることを思いつく。

森の奥の樹海には九百年を生きる魔女ヘラが住んでいて、
ミナの目もきっと治せるはずだと、ドラクロワはミナと共に、魔女ヘラの元に向う。

ドラクロワと魔女ヘラは過去に因縁があるようだが、
ドラクロワはミナの目を見えるようにしてくれと魔女ヘラに頼む、
魔女ヘラは見返りを要求するが、
ミナの天然っぷりに、ミナ自身の生体エネルギーでミナの目を治す。
しかし、ミナの生体エネルギーは既に少なくて、
目が見えるようになった代償にミナが生きていられる時間も残り2時間となってしまった。
ドラクロワはミナに「生きたい」って思わせてやりたくて、
わざわざ魔女ヘラの元に訪れたのに、
ミナの命は2時間だけかと、魔女ヘラに元に戻すようにいう。
しかし、ミナはこのままでいいと・・・・・

命乞いさせるつもりのドラクロワだが、このままでは腹の虫が収まらない。
ミナに素晴らしい世界を見せつけ、命乞いさせようと企む、
老いを知らない吸血鬼のドラクロワ、限りある命のミナ、
魔女ヘラは、そんなドラクロワの暇つぶしに憂い抱く・・・・・

ドラクロワと共に上空にあがったミナは森や星、月に歓喜する。
そんなものは見慣れているドラクロワ、
次に向ったのは、百年に一度満月の夜に咲く幻の花「ビスカチュア」の花畑。
ミナは子供のように花に埋まる(というか転ぶんですが)。
そしてミナは、ドラクロワが人の命の短さ故、
これを逃したら一生見られないから連れてきてくれたのだと知る。

ミナに時間はない、
ドラクロワは、五百年に一度、南の空に降り注ぐ、青の流星群を見せようと、
見晴らしのいい場所を探す。
ドラクロワがミナを抱え場所を探す最中、ミナはとても幸せだった。
なぜなら、ミナの人生でこれほど優しくされた事はなかったからだ。
ミナの頭上には満天の星空が広がっていた。

そして、流星のショーが始まった・・・・・

「見ろミナ!! 流星群だ!!」

やっと見られた 流星群だったが、ミナにはもうほんの少しの時間しかなかった。
ミナは最後の力を振り絞り、ドラクロワに最後のお願いをする。

小さい頃、ミナの母が聞かせてくれた、

「人は皆 死んだらお星様になるの」

きっと私もお星様になって皆を見ている。
でも、きっと、一人で光っているのがさみしくなって、誰かに気づいて欲しかったなら、
その時は、あの暗い森で私を見つけてくれたみたいに
貴方は私を見つけていてね・・・・・

あの日以来ドラクロワはミナとの約束を守っている。

この作品を最初読んだ時、号泣してしまいました。

悪魔とドルチェも良かったし、カラクリオデットは大人買いでしたので、
星になる日が初期の作品だと知り、先の、朝がくるもとっても良くて、
こういった作品が描けるジュリエッタせんせって凄いと思いました。
何となくですが、読みきりは作家さんの実力がよくかわるんじゃないかと、
個人的に思う訳ですが、デビューして力をつける方もいれば、
私が感銘を受けたように、最初?からこんな作品が描ける作家さんもいるんだなぁ、と、

アニメ、神様はじめましたを観る前に、ジュリエッタせんせの作品に触れて頂ければ、
もっと好きになるのではないかと思います。

2012年8月16日木曜日

「しゅうこちゃんのおかし」四元シマコ

■支えているのは・・・

















ケンジの住むアパートにしゅうこが引っ越してきたのは、ケンジとしゅうこが7歳の時、
ケンジにも、しゅうこにも、父親がいない。


高校生になった二人、
しゅうこはいつものようにお菓子をつくりケンジに届けるが、
あまり乗り気のないケンジ、
そんなケンジを尻目に、しゅうこは他の男子にはけっこう人気がある。

昔からしゅうこは口うるさいわけでもなく、
ただ笑って、ケンジに近づいてくる、
愛想があり、要領が良くて・・・・、
今、ケンジはそんなしゅうこが苦手だった。

しゅうこを見ていると、ケンジは自分の不甲斐なさ感じ、
プイライドを傷つけられる。
自分がとても子供のように思え、
良くできるしゅうこが大人に見えて、嫉妬する。

だから、最近のケンジは特にしゅうこに冷たく当たってしまう。

子供の頃、
ケンジの家には母親が仕事でいない代わりに、
沢山のお菓子があった。
ケンジはそんなお菓子よりも、母親の存在が欲しかった。

けれど、そんな冷たいケンジにも、
しゅうこは変わらずケンジに接してくる。

だからケンジは情けなくなり、
心とは裏腹に、しゅうこに酷いことを言ってしまう。

しゅうこはそんな時でも笑顔でケンジに話はじめる・・・・

小学校1年生の時、
引越ししたばかりで、家には誰もいない、
隣の子(ケンジ)はツンツンしていてあそんでくれない、
うちにひとりで寂しくて、
お菓子をつくればその寂しさが紛れるんじゃないかと思い、
一人ではじめてクッキーを作った。

お菓子があれば、ケンジが来てくれるかもしれないと、ケンジを呼び、ケンジとふたり焼き上がるのを一緒にまった。
しかし、出来上がったお菓子は焦げてしまっていた。
けれど、ケンジはそれを「おいしい」といって食べてくれた。
しゅうこはとてもうれしくて、
ケンジにお菓子を作っている時は、その寂しさを忘れられるのだと、ケンジに話す。


しゅうこはいう、

『ケンちゃんのためにじゃなくて、ケンちゃんを支えにしているの』

ケンジは、しゅうこの焼いたお菓子を徐にとりだし食べ始める、

『・・・うまい』








これは、ある意味、愛の告白でもあるように感じます。

最後、ケンジがとっても男の子らしくって、素敵なんですよ。(台詞は消しました)














ホント、四元シマコせんせの描く女子はかわいいんですよね、
というか、しゅうこは一途で、実はとっても大きい存在なのかもしれません。
誰かを好きでいるって実は凄く大変だし、
好きな人でも嫌なところってあるのもです。
けれど、そんな事はしゅうこにはまったく関係ないように感じます。
愛する力って本当に凄いですね

2012年8月3日金曜日

「くうのむところにたべるとこ」ヤマシタトモコ

愛と食欲に溺れるシリーズ dish1 Cocohana Sep 2012

二人で焼肉・・・・・

普通焼肉は家族だったり、
カップルで行ったりするものだと思うのですが、
最近は女子同士でもガッツリ行くなんて事ありますから
わかりませんが、

この二人(名前すらわからない)いい歳(20代後半から30代前半)に見えるんですが、女子二人で焼肉です。

それも、興奮するとか、性的とか、言ってるし、

・・・知ってる?肉に含まれるコレステリンと性欲の関係
とか、

まだある、

あんたとしたいの・・・・焼肉
とか、



・・・・・・キス したい な ・・・・・あんたと

・・・・・臭いよ?あたし














・・・・・あたしもよ?












これはもうガチ百合さんですwww (ヤマシタトモコせんせの場合、ビアンって感じですが)

場面向こうには男性のお客さん二人が、見てます。こちらを、

オチは、まぁ、お腹いっぱいですからね(笑)

因みに、表紙の絵では手にカラーを持ってますよね、
カラーの花言葉は、「清純、乙女のしとやかさ」なんですよ、フフフ

2012年7月22日日曜日

「青い花7巻 若草物語」志村貴子


太田出版
















河久保さんの恋


はじめて好きになったのは幼稚園の先生
初等部にあがると、同じ班の日下部さんを好きになった
日下部さんはわたしが日下部さんを好きなほどには
わたしのことを好きではないようだった

あきらめのよい私は次々に恋をした。

それらはすべてこちらの一方的な思いばかりで
実ったためしはない

告白したこともないのだから
実るはずもなかった。

人は生きている間にどれだけ恋をするんだろう
一般的な人ならば、実ることの方が少ないのではと思うのです。
しかも同性という・・・・・

そいうゆう恋だから、きっと相思相愛になったら
相手を一層大切に想うのだ。
自分の好きな相手が、自分を好きになってくれて、
ずっと好きでいてくれるって本当に幸せだと思う。

ラスト、待ち合わせと思われる場所で、向き合うふたりがいるのですが、
私は、河久保さんの恋はここで終わり、
河久保さんとお相手の「愛」が育まれる事を切に願うのです。

しかも、その待ち合わせ場所が江ノ電・・・・・
本には「青い花×江ノ電フェア」のお知らせが入ってました。

是非、えのでんはうすでは、青い花のDVDを販売してください。
しかもブルーレイになったらとってもうれしいんですけれど、
太田出版さん及び関係各位さまへ

追記:
えのでんはうすに行って来ましたよ.....DVDは流れてましたが、
流石にDVDは販売してませんでした、もちろん、BDもね

2012年7月14日土曜日

「荒野の恋2」タカハシマコ 原作:桜庭一樹


荒野が好きなの、
告白・・・それはせつなくて苦しくて

父の愛人が家に押しかけてきたところを、またしても悠也に助けられる。
荒野は、悠也に、そんな父をもつ苦みを泣きながら打ち明ける。
悠也は自分の部屋にこいと荒野を誘う.....

悠也の部屋には本とレコードがいっぱいある。
時折悠也の部屋から音楽が聞こえてくるが、
荒野にはそれが何て音楽なのかよくわからない。
悠也はそれが、ジャズだと教え、
そして、荒野の父が、ジャズの演奏家のように、ハングリーアートの人で、
そしてそれは仕方ないことで、
そんなことは荒野には関係ないことだと話す。

悠也の部屋で聴くジャズ、
トランペットの音が荒野には悲鳴のように聞える。
そして、聴いているとなぜか荒野の瞳から涙が零れ落ちる。
焦る悠也、荒野の頭に触れようとするが・・・・・
そんな悠也からなぜかとてもいい匂いがする。

講談社 なかよし KCデラックス














そして強く胸が痛む。

夏休みに入り、何の予定もなく、
江里華とも気まずいまま話せずにいた。
そんな中、江里華が突然、荒野の家にやってきた。(焦る荒野ちゃん)

話があるという江里華、
何気に邪魔が入りすぐには本題に入れないけれど、
江里華はずっとごめんと荒野に謝る。
そして「荒野が好きなの」と告白する。

講談社 なかよし KCデラックス















荒野も江里華が好きだよ(お約束なボケ)と言うが、
「・・・荒野、そうゆう好きじゃないよ」と.....


講談社 なかよし KCデラックス












わーん、もう思いっきりの百合告白で、
頭が真っ白くなってしまいましたよぉ.....
江里華ちゃんかわいい、

江里華がなぜ荒野に冷たかったのか、何気に気づいてましたが、
いや、本当にそうなのかと、
そして、作中、悠也を見る江里華の目が怖いので、
ははーんと、
江里華は悠也もまた、自分と同じように荒野が好きだし、
荒野は悠也が好きなのよね、っと突っ込まれて、
また強く胸が痛む荒野ちゃんなのでした。


江里華が荒野に告白し、
江里華は居たたまれなくなり、部屋を出るんですが、
蓉子(義母で悠也の母)が立ち聞きしていて、うまく江里華をフォローしてくれます。
さすが大人の女性という感じで.....

物語はその後、悠也が海外留学をするという突然の報告で
3巻に引き継がれます。

わー、3巻楽しみです。
巻末のお知らせでは完結ってなってますが、これで終わりなんですかね?

しかし、このお話は『なかよし』なんですよねぇ・・・・・
前回も言いましたが、大人でも?大人が?楽しめます(笑)

2012年7月10日火曜日

「もう卵は殺さない」香魚子(その3)

☆亘理くんとふれたなら

A.T.Fieldな理系男子・・・・・

汐見麻衣は明るくて元気な、どこにでもいるような普通の女子高生です。
母子家庭みたいで、母親が海外で働いています。
本当は寂しいけれど、大丈夫だよ!って言っちゃうタイプの気丈な女の子。

そんな麻衣のもとに、一人の男の子がやって来ます。
名前は望月亘理(わたり)くん。
北欧で暮らしていたけれど、身寄りがなくなり、
麻衣の母親がいろいろかけあって、
日本の大学へ奨学生として入る事となった。

その亘理くん、高校を飛び級で卒業するほどの天才で、
大学へ編入する3週間だけ、麻衣の家で過す事となる。

亘理くんがやってくる日、麻衣は割りと舞い上がっていたんですが、
やってきた亘理くん、そのような事は露知らず、
玄関が開いていたと、勝手に家に上がりこみ、
挨拶も程々に、鍵をかけて部屋に篭ってしまいます。
そんな訳なので、学校のお友達に、
どうなの?って聞かれても答えに困ってしまいます。

麻衣はお菓子作りが大好きで、
料理部でパータ・ビスキュイ(スポンジケーキ)を作ります。
学校の男子(約1名)には好評で、亘理くんの事で落ち込んでいましたが、
褒められた事で、元気を取り戻します。

お家に帰り、亘理くんにそのお菓子を食べてもらうのですが、
亘理くんは、自分が作った方がおいしいとか言うし、
更に、「教えてあげるよ」なんて言ったりします。
洋菓子には慣れている亘理くん、理系の知識を生かし、
美味しいケーキが出来上がるのですが、
麻衣は自信喪失する。

ただ、亘理くんはなぜケーキを作るのか?
麻衣と亘理くんは同じような境遇だったためか、その理由に共感する。
そして、亘理くんが、悪気のない真っ直ぐな性格だという事を知る。

仲良くなれそうな糸口は見つかったのだけれど、
もう少し亘理くんに近づきたい麻衣、
友達の提案で勉強会を麻衣の家でする事に、

けれど、あまり乗り気のない亘理くん、
とっても嫌そうだけれど、何とか承諾を得るのですが、
元々やる気がないので、
亘理くん得意の冷徹攻撃で友達を怒らせてしまいます。

さすがの麻衣もこればかりはと激昂します。
これまでの疲れが出たのか、麻衣は風邪を引いてしまいます。
どんなに亘理くんの事を想っても、
亘理くんには届かない、
そんな麻衣の独りよがりな気持ちが、怒りとなり、亘理くんに向けられた。
麻衣は亘理くんに誤ろうと部屋をでる。

そんな麻衣に亘理くんは生姜湯とおかゆを作ってくれていた。
麻衣は気丈に振舞っていたけれど、本当は寂しくて、
母親に行かないでと言えなかったし、
そんな寂しい一人暮らしに亘理くんがやってきて、
自分は空回りばかりだと、
亘理くんに告白する。

亘理くんも麻衣に
人の気持ちや感情がどういうものなのかは、どうしてもよくわからなくて、
気づくと、人に嫌われている。
けれど、近くにいてくれた人が離れていくのは未だに慣れない
と告白する。

どうして、亘理くんは麻衣にそっけなかったのか、
最初から距離を置こうとしていた亘理くん、

「僕、きっときみを傷つけたよね」

麻衣が、本当の亘理くんとふれた瞬間でした。


さて私的見解ではありますが、この作品、
理系男子特有の良さや悪さが凄くよく出ている作品かなぁ?と思います。
理系男子って、
  • プライドが高い、あるいは高そうに見える
  • 感情や心配りの配慮に欠けていて、冷たそうに見える
  • 感情的な会話になるとハーッというような顔で話を聞かなくなる
  • 専門的な知識は物凄くありますが、反面、人間同士の微妙な心の動きとかが見えない
  • 話をしているだけなのに、逆に解決策を延々話す
みたいなところが一般的にはあります。
けれど、表に出てこないだけで、
実は一所懸命に考えていたり、どうしてなのかと、
理由を言ってくれればいいのになぁと思ったりします。

麻衣に酷い事言われても、
さらっと、生姜湯とおかゆを作ってくれるところなんて、
とっても男子だなぁって思います。

2012年7月4日水曜日

「もう卵は殺さない」香魚子(その2)

☆茉莉花にくちなし

里美茉莉花、17歳、顔もよければ勉強もできる。
落とした男は数知れず。女の憧れ、そして、敵・・・・・

















マーガレット コミックス 集英社



茉莉花は学校帰りに心臓発作を起こし、
自分でもわからぬまま、突然帰らぬ人となった。
だから、いまだ今生に未練があり成仏できないでいた。


そんな茉莉花が倒れていた場所に、ひとりの女の子、
名前は、支子(つかこ)。
何か訳ありっぽい感じですが、お線香をあげて供養してます。
そんな支子に、幽霊となった茉莉花が声を掛ける、
もちろん、支子はびっくりする。


茉莉花は、支子が学校でイジメにあっている事を思い出して、
支子に憑依し、支子を変えてあげると提案する。
もちろん自分の未練を実現しようとしての事、


憑依する事を一旦保留する支子だけれど、
駅のホームで同級生のカツアゲにあってしまう。
茉莉花は、支子に「このままの自分でいるのは嫌でしょ」と、憑依を促す。


マーガレット コミックス 集英社



憑依に同意した支子は、反対、茉莉花にやり残した事はないかと聞いてみる。
茉莉花は大好きな桂葉広樹(ヒロ)ともう1度デートしたいと支子に話す。


支子とヒロ君は、実は幼馴染で、支子はヒロ君が好きなんですね、
けれど、お互い成長するとともに疎遠になって、
支子はヲタの道にどっぷりと浸かってしまう。
そんな支子を見て茉莉花は哀れだと感じる。


なんとしてもデートしたい、茉莉花、
イケてない支子の髪型を変えて(テレる支子ちゃんが可愛い)、















マーガレット コミックス 集英社




ヒロ君をデートのお誘いに望みます。

支子に憑依した茉莉花はヒロ君を、うまくデートに誘う。(茉莉花凄い)
しかし、なぜかそれを見ていた女子たちがカチンときます。
まぁ、女子にはありがちな、典型的なイジメに支子はあってしまう。


どこまでも自分を変えようしない支子を茉莉花は歯がゆく思っていた、
なぜなら、茉莉花には、暗い過去が・・・・・

今の自分に満足している人はどのくらいいるのだろうか?
人間は、変化のトリガーを何か(誰か)に期待しているのかもしれない、

確かに、支子の変化は茉莉花が憑依して、もたらしてくれたものだ。
同じように茉莉花の未練も支子という物体が存在していたからこそ成仏できる。


しかし、茉莉花が支子を、支子が茉莉花を直接的に変えたという訳ではなく、
お互いがトリガーとなって、茉莉花が支子を体験し、支子が茉莉花を感じて、
結局、自分で自分自身を変えている。


人は変化を嫌うものです。
しかし、何も失敗しない人や、何も苦労しない人に、
失敗した人の気持ちや、苦労した気持ちはわからないと思うのです。


もしかすると良いお友達になれたかもしれない二人、
それに気づいた茉莉花 だけれど、自身の存在はもうこの世からいなくなっていて・・・・・


次回は、「亘理くんとふれたなら」です。ここにも典型的な男がいます。 

2012年6月28日木曜日

「もう卵は殺さない」香魚子(その1)



マーガレット コミックス 集英社



















タイトルだけを読むと何だかよくわかりませんが、
クリエイティブなお仕事をされている方であれば、何となくわかるような気がします。

この読み切りは、4つの作品から出来ています。収録は以下の通り

  1. 「きょうは何の日」週間ジャンプ 平成24年4月20日増刊 アオハル"bitter"
  2. 「茉莉花にくちなし」別冊マーガレット  平成23年11月増刊  別冊マーガレット "sister"
  3. 「亘理くんとふれたなら」 別冊マーガレット  平成24年1月増刊  別冊マーガレット "sister"
  4. 「もう卵は殺さない」 別冊マーガレット  平成24年6月増刊号  bianca
「きょうは何の日」は12ページですが、
他の3作品は40ページから60ページという読み応えのあるページ数で、
読み切りだからと侮ることなかれです。

★きょうは何の日

主人公の女子はクラスではちょっと浮いた感じ、
彼女には別のクラスにちょっと気になる男子、遠藤君がいる。

彼女は、少しツンデレ?っぽいところもあり、素直になれなかったりするので、
遠藤君に冷たくされたりする。


ホワイトデイの日、遠藤君に今日は何の日が聞いてみるんですが、
まったく動じない遠藤君、


結局、自分から、「お返しちょうだい」などといってみちゃったりします。


これまでそんな態度も出していないような、気にかけている男子が、
実は、お前の事、気になっていたんだよ.....的になったんですが、


しかし、遠藤君には・・・・・


でも、やっぱり、とてもうれしいですよね、

マーガレット コミックス 集英社









最後、ちょっと、えーっ、そうだったの?となる展開。

香魚子せんせの描く女の子って、
何となく、透明感があるように感じます。

とっても綺麗だったり、かわいらしかったり.....女の敵(笑)

次回は、「茉莉花にくちなし」について・・・・。


2012年6月19日火曜日

「荒野の恋」タカハシマコ 原作:桜庭一樹










すなわち、スレンダーは秀才
巨乳は天才

荒野、12歳、おとな 以前。
中学の入学式の朝、山野内荒野は急いで飛び乗った電車で、
神無月悠也に窮地を救われる。

その日、朝のホームルームには、なんと助けてくれた、神無月悠也が、
しかも、悠也と荒野は学級委員となってしまった。

この作品は「なかよし」で連載されているんですが、
普通に大人でも読めるところが凄いと思うのです。

女の子が大人になっていくって、
体の変化とか、異性を好きになるとか、家族の事とか、お友達との友情やら嫉妬やら、
いろいろ大変なんです。

そんな荒野ちゃんの何というかアンバラスになりがちな、
女の子の成長を上手く表現しています。

特に、自分ではまったくわかっていない事が多くて、
実は荒野ちゃん、お友達に嫉妬されるぐらい巨乳だったりして、

お友達のお母さんに着物を着付けてもらう際、
女の子の体は本人の了承なしに突然はじまって、終了するまで待ったなしに続くのよね、
なんて言われたり、

最近よく転ぶって思っていると、
家政婦さんの奈々子に、胸のせいだと指摘されたりして、

そして、冒頭の台詞、

やせるのはダイエットすれば、やせる、でも太ったって胸はでてこないぞ、
すなわち、スレンダーは秀才
巨乳は天才
荒野 おまえは いま 天才の道を 歩きはじめたのさ


早く大人になりたい気持ちと、何も変わりたくない、ここにいたい気持ち・・・・・












講談社 なかよし KCデラックス



わたしは、タカハシマコせんせの描く女性が凄く好きです。
とくに最近の作品はわたしのストライクゾーンなんですよね、

荒野の恋 2巻は、2012年7月6日発売ですよ。

2012年6月16日土曜日

「未完の恋」宮内由香

わたしが宮内由香せんせに出会ったのは、
2010年のつぼみvol.8、「夏の思い出」でした。
百合系の作品はそれなりに好きで、読んではいましたが、
何となくというような曖昧なもので、
つぼみもそういった流れで読むようになったのですが、
今から思えば、もっと前から読んでおけば良かったと後悔しています。
しかし、こうして、宮内由香せんせの作品が、
つぼみ収録+αという形で刊行されて本当にうれしいです。

さて、「夏の思い出」、
わたしはもう、1ぺージ目から引き込まれてしまいました。

「未完の恋」宮内由香 芳文社













結婚式会場で一人立つ綾乃、
彼女はこれから結婚式をあげる、従姉妹「しょうこ」との、
ある夏の日を思い出していた。

綾乃は内気な性格で、本を読んだりするのが大好きだけれど、
暑いし、うるさい親戚も苦手なため、夏休みが嫌いだった。
けれど、嫌いな夏も、従姉妹の「しょうこ」が来てくれれば、
もうそんなことは全然関係なかった。

畳のある部屋で、干された布団に寄りかかり、
苦手な親戚たちが綾乃を誘うが、一緒には行きたくはなかった。
シーツに包まり、やり過ごしていた綾乃のもとへ、
しょうこがやってきた。

大人たちはお墓参りに行ってきたようで、
しょうこも制服姿だったので、
綾乃は用事の済んだしょうこが帰ってしまうんじゃないかと心配だった。

しょうこは、そんな綾乃を思いやるが、自分は受験も控え、
日帰りである事を綾乃に伝える。

綾乃は受験が終われば、また来年も来るよね、
ずっとずっと来るよね、と、しょうこに問いかける。

そんな、綾乃にしょうこは......

今、目の前に、そんなしょうこが結婚式をあげている。
綾乃は、大切な人、しょうこの幸せをそっと祈る。


「未完の恋」宮内由香 芳文社


















この単行本は、百合作品だけではなく、
ファミリー向けの作品も加味されています。
宮内由香せんせいは、LO等にも掲載されていますので、
青の時代、恋愛賛歌など、
そういった要素が強い作品と思われている方は拍子抜けされるかもしれません。
けれど、内容は宮内由香そのものではないかとわたしは思っています。

描き下ろしではないもの
  • 「キャメル」つぼみvol.1(2007年発行の同人誌)
  • 「胸の炎」つぼみvol.2(2009年)
  • 「シュガー」つぼみvol.3(2009年)
  • 「鬼丸さんの恋」つぼみvol.5(2010年)
  • 「夏の思い出」つぼみvol.8(2010年)
  • 「泣き猫 月光を浴びる」同人誌(2011年)
  • 「3年前の・・・」東日本大震災チャリティ同人誌(2011年)
  • 「ファミリア・ファミリア」つぼみvol.17(2012年)
描き下ろし
  • 「未完の恋」
  • 「鬼丸さんの恋 その後」
  • 「ファミリア・ファミリア キヨコ結婚前」
  • 「ファミリア・ファミリア 5年後」
ファミリー向け
  • 「ここは帰りた荘1」
  • 「ここは帰りた荘2」
  • 「ここは帰りた荘3」
あとがき
  • ひとりごと
その他
  • 書店別特典

2012年6月13日水曜日

「明け方、露が光っている」谷川史子

露草:なつかしい関係

男という生きものはどうしてこう・・・・・、

ちっちゃい頃のカホは、夏休みの暑いのも、早起きも苦手だけれど、
水晶みたいな露を含んだきらきら光る青い花、露草を眺めるのが大好きだった。

結婚して初めての夏、カホとショウは喧嘩した。
それはもうなんというか、断然、旦那のショウちゃんが悪い!

だってショウちゃん、初めての夏休みだというのに、
遠出はしたくない、混雑は嫌だ、家でごろごろして溜まったDVDを観たい、
しまいには、カホちゃんにビール取れだの、
もうカホちゃんが怒るのも無理はない。

カホちゃんは優しいので、そんなショウちゃんのわがままも、
お仕事で疲れているから、まぁ二人でのんびりもいいかなぁ・・・・、
なんて思いはじめていた矢先、
ショウちゃんの男友達から、お誘いの電話がぁ、
ショウちゃんはカホちゃんのことも忘れ、男友達のお誘いに二つ返事で乗ってしまう。

ありますよね、男の人って、こうゆうの、ええかっこしい、男のロマンとか言ったりして(ため息)

カホちゃん、切れました。わかります。ほんと、切れて当然です。
ショウちゃん最悪です。

女の子はこうゆう事ですんごく不安になります。
出会った頃はこんなじゃなかった、
メールや電話も頻繁にあった、
会いたくて、帰りたくなくて、
とても幸せだった。









けれど、もう、あの頃みたいに大事な女の子じゃなくなってしまったのかと・・・・・

男という生きものは、バカだけれど、カホちゃんの事忘れた訳じゃない、
ショウちゃんはカホちゃんをとっても大切な存在だと思っている。
だから・・・・・

2012年6月8日金曜日

「放浪息子13巻 100話 らせんの素描」志村貴子

女子はたいてい 陰険で陰湿で
男子は 乱暴と馬鹿 ばっかり
誰も全然 すきじゃなかった.....

さおりの感情はとてもよく理解できる。
私自身大人になっても、こうした気持ちは多々あるし、
男性という生きものは基本的に乱暴にできていて、
大人になっても子供で馬鹿な人がホント多い、
もちろんそうでない男性も大勢いますが・・・・・、

さおりんは、すごく大人になっている。
二鳥君を好きになって、さおりんは変わった、
小学生の頃だったら、引きこもったりして、外界との接触を遮断していたし、
好きとか嫌いとかは別にして、二鳥君や高槻さん、
その他の人々との関係がさおりんを変えていった。

『すきじゃなかった 』 という過去形が物語るように、
これまでのことを思い出して、

-笑い-となっている。

さおりん本当に大人になったんだなぁ・・・と思うのです。

エンターブレイン BEAM COMIX 放浪息子13



















まぁ、そんなさおりんの思い出し笑いを教室の男子に見られて、
ガターンッて立ち上がるところは、
さおりんのままなんですけれどね(笑)

しかし、らせんの素描ってタイトルは何を意味するんだろうって思うんです。
らせんは何かしらの比喩、メタファーだと思うのですが、
数学的には、三次元の曲線ですが、
巻貝のようなイメージであれば収束または発散するので、
多分らせんとはこちらのイメージではないかと・・・・・、
素描も日本語ですが、デッサンとかに変えてみたとしても、
フランス的なとらえ方と、ドイツ的なとらえ方があるようで、
こういった文学的な解釈はわたしには難しくて、よくわかりません。
文学に詳しい方の解説が欲しいところです。

あと、二宮文弥、
まさかこれが思し召しだなんておしゃいませんよう
お前の運命の相手はあれではなくこれなのだ などと
どうかおっしゃいませんよう・・・・・




2012年6月4日月曜日

「花無垢」紺野キタ

「花無垢」はCocohana2012年7月号のふろく「花図鑑」に収録された読み切りの短編です。
このふろくは6人の作家さんがそれぞれ「花」をテーマに書き上げたようで、
以下のような構成になっています。

  1. 『明け方、露が光っている 』  谷川史子  露草:なつかしい関係
  2. 『 菫子 』  岩館真里子 三色すみれ:わたしを想って下さい
  3. 『 花無垢 』  紺野キタ  夏椿:愛らしさ、はかなさ
  4. 『 ハイビスカスの庭』 かねもりあやみ ハイビスカス:上品な美しさ
  5. 『 まるで薔薇のようなアタシ』 松苗あけみ 薔薇:愛情、情熱
  6. 『Daydreaming』 くらもちふさこ 蓮:やさしさ
散りくる白い夏椿、花のいのちは短くて・・・・・

結婚する事が決まり、夫となるクニヒコと実家に帰ってきた。
そこには年の離れた妹のひかるがいた。
ひかるは中学生で、クニヒコには初めて会う。
そんなひかるが足を水で流している。
聞けば、新しい靴で靴擦れをしたため、冷やしているという。
靴は庭に放り投げたようで、
姉は、今夜雨が降るから、取ってきておきなさいと、ひかるを諭す。

ひかるは靴を投げた方向に探しにいく、行った先には、散りくる白い夏椿、
その枝ぶりの中に身を置き、こちらを振り返るひかる。
姉はそこに得体のしれない生き物を見る。














「この生きものは何だろう?」
「今、目の前にいる、これは何ものだ?」

しばらくして、ひかるは友達とディズニーランドに行くことになり、
帰りに姉夫婦の家に遊びにいく、
ひかるに会うのは結婚式以来だ、




















久しぶりに会った妹は、魔法がとけてしまったように、
普通の女性になっていた。

ベトナムとフランス合作の映画に「青いパパイヤの香り」という作品があります。
この映画の前半、ムイという役で、10歳の女の子が登場するのですが、
花無垢を読むとなんとなくこの子を思い出します。

きっとどんな女の子にもある”少女”という愛らしくはかない時間・・・・・